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セミナーレポートver2「副業解禁は離職率防止の施策になりえるのか?!~ベンチャー企業人事が徹底議論~」

大手企業を始め、副業解禁が加速する一方で、人材流出の不安や本業へのコミットメント力低下など副業に対してリスクを感じている企業もまだまだ多いことでしょう。

しかし、外部で習得したスキルを活かし、自社へのさらなる貢献へと繋げた事例も数多くあります。加えて、副業人材の有効活用方法、マネジメント方法の正しい知識を得ることで、副業解禁は企業にとって有益性を生み出す大きな可能性も秘めています。


本記事は、6月26日(金)に開催したオンラインセミナーにて、副業推進・解禁企業の人事担当者をゲストにお招きし、企業目線で「副業推進・解禁のメリット/デメリット」や「具体的な受け入れ施策」など「副業」のリアルをトークディスカッションしたセミナーレポートです。

目次[非表示]

  1. 1.副業は解禁しない方がデメリットになり得る!?
  2. 2.副業者活用は、スモールスタートから始めることがポイント
  3. 3.副業解禁は野放しにせず、トラブル防止の施策、教育を!
  4. 4.副業を解禁しないことは、社内のキーパーソンの離職発生を防止できる施策!?
  5. 5.まとめ


パネリスト

Smartly.io 坂本 達夫氏

2008年に東京大学経済学部を卒業後、楽天、Google、AppLovinを経て、2019年2月より北欧のマーケティングテクノロジー企業Smartly.ioに参画。日本第1号社員・事業責任者として日本展開をリードしている。実益を兼ねた趣味として、累計30社以上のスタートアップにエンジェル投資を実行。
新サービス・アプリ紹介番組「ええじゃないか」(TOKYO MX)にMCとして出演。
YouTubeチャンネル『坂本達夫のスタートアップ酒場!!』出演者・チャンネル登録者募集中。


株式会社メルカリ Manager of People Experience Team 望月 達矢氏

大学卒業後、外資系生命保険会社、エンタメ企業、ITベンチャーを経て2017年12月メルカリ入社。People Experience Teamのマネージャーとして、人事制度企画や人事労務などを担当。現在、メルカリのニューノーマルワークスタイルのプロジェクトリードをしている。



コインチェック株式会社 大和 省悟氏

大学を卒業後、顧問紹介を経てテクノロジースクールにてエンジニア特化のキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーを兼任。その後2018年コインチェック入社。エンジニア採用及び採用広報の立ち上げを一人で担当し、暗号資産(仮想通貨)、ブロックチェーン系エンジニア、デザイナー等を年間数十名採用。

現在は新規通貨の取扱いに関するプロジェクトマネージャー及びその他新規事業開発を担当。


株式会社侍 菅谷 愛里氏

大学卒業後、福利厚生サービスの営業を経て株式会社侍にジョインし、人事部立ち上げを経験。現在は組織開発をメインに、広報、経営企画などを担当。また個人では副業でベンチャー企業の採用や制度設計支援なども行っている。


ファシリテーター

株式会社ドゥーファ 代表取締役会長 一戸 健人

1990年生まれ、29歳ゆとり世代。北海道生まれ、法政大学卒業。
大学卒業後はITベンチャーに就職。2年目で顧問サービスを立ち上げ、3年で売上3億の事業に。同時にベンチャーキャピタル子会社社長も兼任する。2017年10月より株式会社ドゥーファを創業。1年目は様々な会社の営業コンサルティング業務を行い、2期目に副業プラットフォーム「Kasooku」をリリース。


本セミナーは華金の夜にもかかわらず、50名を超える申し込み予約、当日はスタートアップからベンチャー企業の人事担当者、採用責任者、事業責任者など多くの方にご参加頂きました!


副業は解禁しない方がデメリットになり得る!?


一戸:本日は、副業解禁・推奨、受け入れを行っている、人事のリアルな声や、実際に副業のご経験をお持ちだからこそのリアルなお話をお伺いしながら、企業の副業解禁・受け入れに関して議論して参りたいと思います。まず「副業解禁のメリットはどこにあるのか」2018年より副業推奨していらっしゃるメルカリ望月さんいかがでしょうか?


望月さん:人事のミッションとして、一昔前はヒトは定数であり、要員管理が主であったと思います。しかし、近年は社員それぞれにどのような役割を任せて、その役割や業務に対してどのようなモチベーションやコンディションで働いているかでパフォーマンスが変わってくるということがわかってきているので、ヒトは変数であり、いかに企業への共感度を高め、個人およびチームのパフォーマンスを最大化させれるかが人事の重要なミッションになっていると思っています。
また、「ミッションの達成はもちろんですが、働く人の人生にも責任を持つ」と考える弊社経営陣の想いがあり、副業を解禁しないことは社員のキャリアの選択肢を会社が閉ざす事になると思いますので、弊社は副業を解禁しています。そして弊社は副業については解禁のみならず推奨としています。その理由としては、情報を出すところに情報が集まるので、そうした情報が自社事業に役に立つと考えています。また、社外の優秀な方と働いたり、社外でプロフェッショナルとしてアウトプットをすることで本人のスキルアップに繋がりますし、結果として社員の市場価値向上にもつながるため、副業解禁のみならず弊社では副業推奨としています。


坂本さん:実際に副業解禁、推奨を社内外へアナウンスした前後で何か変化はありましたか。


望月さん:元々副業NGではなかったので、大きな変化はなかったです。とはいえ、採用においてご応募頂ける方が増えましたし、面接で副業推奨に関して質問頂けるケースなどは明らかに増え、結果として多くの優秀な方にJoinいただけたので、採用への効果はあったなと肌感では感じてました。


大和さん:当社も、元々副業NGとはしておりませんでした。いわゆる副業のメリットとしては、優秀な方の離職を防げることに繋ぐ対策になると感じている点です。技術力の高いエンジニアが多い会社にとっては、エンジニアの職種柄、プロジェクト毎にスポットで任せられる案件があるからこそ、友人経由にて少し手伝って欲しいなどお声がけがあると思います。副業がしにくい場合には、離職をしてまで手伝う手伝わないの選択になってしまうと思いますが、副業がしやすい環境であればその選択だけではなくなります。また、リモートワークも推奨されているからこそ、通勤時間を副業にあてることもできると思いますね。


副業者活用は、スモールスタートから始めることがポイント


一戸:副業者受け入れにおいて、企業側としてハードルとなるところは何かございますか?


菅谷さん:ハードルというよりは、どのような点に気を付けているかとの話になると思いますが、お任せする時点でお互いの期待値とアウトプットイメージを揃えること、現場の受け入れ体制を整備しておくこと、例えば、副業者とやりとりする当事者が役割・業務を理解してマネジメントすることはもちろん、即戦力として活躍頂けるように事前にマニュアルや情報を整備しておくなどの準備が大切だと思います。


坂本さん:自社に足りないスキルを補うために副業者を受け入れる際、スキルの見極めが比較対象がいないからこそ難しいところかと思いますが、具体的にどのようにすり合わせていますか?


菅谷さん:見極めに関しては、実際に働いてみないと分からないことも多いため、スモールスタートから開始いただくケースが多いです。テストワーク期間をおいて、お互いの相性や仕事ぶりをみながらお願いする業務を増やしたり、就業期間を決めたりしています。お互いにリスクが少ないところからスタートしていくことがポイントではないでしょうか。


坂本さん:副業者の採用は、『作業』をしてくれる人を雇うというよりは、やはりプロ人材の採用が多いでしょうか。


菅谷さん:仰る通り、副業者の方を採用する際の前提として、社員がやるよりもプロ人材の方、即戦力の方に手伝っていただき、最短でアウトプットを出してもらうためにお願いできるのが理想です。とはいえ、職種によってはオペレーション業務の様なワーカー業務もお願いするケースもありますね。


​​​​​​​望月さん:メルカリでは採用においてカルチャーフィットを最重要項目として見ているのですが、副業者を受け入れる際にもカルチャーフィットは重要視して見ていらっしゃるんでしょうか?


菅谷さん:重要な業務をお願いする場合はカルチャーフィットも重要視して見ていますね。オペレーション業務など決まったアウトプットをお願いする場合には、カルチャーフィットはそれほど気にしていないかもしれないです。


大和さん弊社の過去事例ですが、元々社員で勤めていた方が退職後に、副業として当社の事業やプロダクトに関わることが有りました。ポジションに寄るかとは思いますが、このような場合はカルチャーフィットは問題なく進められ良かったです。


副業解禁は野放しにせず、トラブル防止の施策、教育を!


一戸:キャリア形成において本業での手段のみならず、「副業」という手段でキャリアを築いていくことは可能でしょうか。


大和さん本業を頑張って頂くことは前提とはなりますが、持っている力を高める際に、本業と異なる会社の規模や成長フェーズの会社に入ってみることで、個のスキルもアレンジしていくことが求められると思います。副業を通して、持っている力を柔軟に適応できるスキルを身に着けるという発想は良いと思います。


坂本さん:少し話が変わりますが、事前の打ち合わせで、コインチェックさんは副業を始める際に申請が必要という形にしているとおっしゃってましたね。それは何故でしょうか?


大和さん:弊社では、副業を行う場合、申請をしてもらっています。これは、従業員の健康管理や会社の利益を阻害しないということ確認するもので、当事者と他の社員を守るためこのような措置を取っています。また、業務端末で他の開発をできないように取り締まりも行っていますね。副業と本業は切り分けるように制度や仕組みをおくことも必要ではないでしょうか。


副業を解禁しないことは、社内のキーパーソンの離職発生を防止できる施策!?


一戸:改めてメインテーマとなりますが、「副業解禁は離職防止の策になり得るのか。」というテーマに関しまして、坂本さんいかがでしょうか?


坂本さん:ネガティブな話からすると、副業を解禁しなかった場合、優秀な方から順番に抜けていってしまうことが考えられると思いますね。とはいえ、自分の本業で満足している、他のことをやる時間が取れない方も勿論いらっしゃると思いますので、全員が全員副業をやる時代になるとは思えないです。
ただ、今日のような金曜日の夜にウェビナーを聞きに来られている方は向上心がある方であると思うのですが、そのような方が何かに挑戦したいと思ったときに会社がブロックしてしまうと、そのような会社で働くことに違和感を覚えてしまうのではないでしょうか。
個人的には、企業が副業を受け入れるのは良い面も多いと思っていて、実際に私がお手伝いしている会社では、普段接しないレベルの社外の人が副業として入ってこられることで、その会社の社員さんが成長機会を感じられて、社内全体のモチベーションの向上にも繋がっていると聞くこともあります。この様な刺激はとても良いメリットになると思っています。


望月さん:離職率というのをもう少し解像度をあげると、会社のキーパーソンとなる方の離職率だと思います。優秀な方ほど他の企業で活躍できる場があり、声がかかっていると思っており、このような方が副業を解禁していないことにより離職に繋がってしまうということは勿体ないなと思います。


坂本さん:あとは、副業禁止といっても正直抜け穴があるのは事実であったりするので、会社として副業禁止と縛って居心地が悪い組織にしてしまうと、結局やめてしまうので勿体ないと思います。
先ほど望月さんも仰られておりましたが、成長したいキーパーソンは他でも声がかかるなど誘惑が多い状況ではあり、本業も面白いけれど他にも挑戦したい従業員がいた時に、成長の機会を奪うことはやめたほうが良いですよね。
極論やめてしまっても、副業で入ってくれるのであればそれに越したことも無いですし、そのような繋がりもあったとしても良いと思います。これからは柔軟に対応できる会社が生き残っていくと思いますね。


菅谷さん:副業を解禁したから離職防止になるとは思っていなくて、優秀な方は引く手数多でどこにでも行ける可能性があるからこそ、人事としては、本業でこの組織に居続ける意味があると明確に思える状況を作ることが重要だと思います。弊社もまさに取り組んでいくところですが、自社で築けるキャリアや経験の言語化、1人1人の副業やプライベートを含めた中長期的なキャリアを会社も寄り添って一緒に考えていく体制が必要ではないかと思っております。


まとめ


今回のオンラインセミナーは、現場のリアルを聞けたからこそ、大変勉強になる内容が多くありました。

・副業を解禁することは社内の優秀な方の離職防止策として必要であること

・副業解禁/推進をしているから副業者の受け入れに積極的であるかは別の観点であること

・副業者受け入れの際にもカルチャーフィットが重要であり、社員の出戻りとして副業入社のケースも検討できること

など、今回、パネルストの方が異なる業態であり、皆様ご自身も副業経験を持っている方だからこその本音が聞けました。


共通していたこととしては、「副業解禁・推奨」は社員を大切にしているからこそ個人のキャリアに寄り添い、チャレンジ・成長を応援したいとの思いから進められていたことでした。
素敵な人事担当の方のお話を金曜の夜からお伺いでき、大変気持ちよく週末を迎えられました。

貴重なお話をお伺いさせて頂きありがとうございました!


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